年末調整の書類を出さない人への催促|150人分で効いた方法

年末調整の申告書の催促を進める経理担当者のイメージ

「催促メールを送ったのに、誰も出してくれない」

年末調整の担当になると、必ずこの壁にぶつかります。申告書を配っただけでは、期限までに集まりません。私は中小企業で経理を20年やっていて、いまは150人規模の従業員から年末調整の申告書を回収する立場にいます。この記事では、催促の方法によって結果がどれくらい変わるか、実際の数字と体験からお伝えします。

年末調整の申告書の催促を進める経理担当者のイメージ
年末調整の申告書の催促を進めるイメージ
目次

なぜ年末調整の書類は、こんなに集まりにくいのか

そもそも、年末調整の申告書はなぜ集まりにくいのでしょうか。理由の一つは、従業員にとって「急ぎではない作業」に見えてしまうことだと思います。給与や経費精算のように、出さないと自分の懐が痛む手続きとは違い、申告書は出さなくても当面の生活に困りません。だからこそ、忙しい時期には後回しにされやすいのです。

もう一つの理由は、年に一度しかない作業だということです。毎月やっていることなら体が覚えていますが、1年に1回だと「去年どうやったか」を忘れてしまいます。何を出せばいいのか、いつまでに出せばいいのかを、そのたびに思い出してもらう必要があります。経理側からすると、この「毎年ゼロから思い出してもらう」という前提に立って動くことが、催促を考えるうえでの出発点になります。

新人の頃は、催促のやり方どころか何も分かりませんでした

年末調整を初めて担当したとき、私が分からなかったのは催促の仕方だけではありませんでした。そもそも申告書という用紙の意味も、従業員に何を聞けばいいのかも、何が正解なのかも分からない状態でした。催促の前に、催促する中身すら理解できていなかったのです。

そんな状態でも年末調整は待ってくれません。分からないなりに数をこなしていくうちに、少しずつ「何が効いて、何が効かないか」が体感として分かるようになっていきました。その一つが、今回お伝えする「申告書が集まらない」という壁です。

150人を担当して見えてきた現実

私の場合、申告書は11月初めに配って、11月20日頃には回収を終えるという流れで進めています。ただし、この期限内に出してくれる人は、体感で6割ほどです。

残りの4割は、期限を過ぎてからの催促が必要になります。「配って終わり」では絶対に集まらない、というのが150人を見てきた実感です。年末調整は従業員にとって年に一度の作業なので、忘れられて当然だと考えたほうが現実的です。

150人という規模で毎年同じような割合になることを考えると、これは特定の誰かがだらしないという話ではなく、催促する側が織り込んでおくべき前提なのだと思います。最初から「4割は動かないもの」として計画を立てておくと、期限当日に慌てずに済みます。

一番効くのは、面と向かって話すこと

催促の方法はいくつか試してきましたが、私の場合、一番反応が早いのは面と向かって直接話すことです。逆に一番効かないのが、チャットやメールなどメッセージでの催促でした。

メッセージは「記録に残る」という利点こそありますが、「後で見ればいい」と思われた時点で優先順位が下がってしまいます。受信箱に埋もれてしまえば、こちらが送ったことすら忘れられる。一方、顔を合わせて直接伝えれば、その場で「分かりました」という返事をもらえますし、相手も後回しにしづらくなります。同じ「伝える」でも、相手の記憶への残り方がまったく違うのでしょう。

だからといって、メッセージでの周知が不要というわけではありません。全員に同じ内容を一斉に知らせる、という点では役割があります。ただ、それだけで動いてくれる人は一部にとどまる、という前提で構えておくべきだと考えています。

そのほかに、伝言を頼むという方法も使っています。直接会って伝えるのが難しい相手には、周りの人に伝えてもらう形です。150人全員に自分一人で直接声をかけて回るのは現実的ではないので、面と向かって話せない場面での次善策として使っています。

どうしても出さない人は、年末調整をせずに終わります

ここまで催促しても、最後まで出さない人は一定数います。そういう場合、私はどうしているかというと、その人については年末調整をしないまま終える、という判断をしています。

申告書が出てこなければ年末調整はできませんので、その人は自分で確定申告をすることになります。追いかけ続けるよりも、この形で線を引くほうが現実的だというのが、うちでの運用です。

ただし、これは期限までに何度も声をかけたうえでの話です。最初から諦めるのではなく、できる働きかけをしたあとで割り切る。この順番だけは守るようにしています。全員を必ず年末調整させなければいけない、と気負いすぎないことも、長く担当を続けるうえでは大事だと感じています。

催促の方法と、効果の違い

ここまでの内容を、使い分けの形で整理します。150人分を担当する中で、私が実際に感じている効果の差です。

方法 効果 使いどころ
面と向かって話す ◎ 反応が一番早い 期限後の個別催促
伝言を頼む ○ 直接会えないときの次善策 席が離れている相手
メッセージ △ 記録は残るが動いてもらいにくい 全員への一斉周知

大事なのは、催促を一種類の方法だけに頼らないことです。メッセージだけで済まそうとすると効果が薄く、かといって150人全員に対面で声をかけて回るのも現実的ではありません。全体への周知はメッセージ、動かない人には口頭、直接会えない相手には伝言。この順番を頭に入れておくと、催促そのものに疲れすぎずに済みます。

まとめ

年末調整の申告書は、配っただけでは期限内に6割程度しか集まりません。催促の方法としては、口頭で直接伝えるのが一番効果があり、メッセージでの通知は思ったほど動いてもらえないというのが、150人を担当してきた実感です。それでも出さない人については、無理に追いかけず、本人の確定申告に委ねるという判断も、経理の実務では現実的な選択肢です。

「配ったのに集まらない」と焦る前に、集まらないのが前提だと考えて、伝え方を組み立てておく。それだけで、毎年の年末調整にかかる負担は変わってきます。今年の年末調整でも、この記事を思い出していただければ嬉しいです。

年末調整について、あわせて読みたい記事

年末調整の全体の流れを確認したい方や、書類の中身の確認で悩んでいる方は、次の記事もあわせて参考にしてください。

この記事が役立ったら、ぜひSNSでシェアしてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

中小企業の経理20年目。日商簿記2級。教科書に載っていない実務のつまずきどころを書いています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次