経費精算の締め日ルール|守ってもらうための工夫と対処法

経費精算の締め日ルールを社内に周知する経理担当者を表すイメージ図

「また今月も、締め日を過ぎてから経費精算が上がってきた…」

締め日を設定しているのに、まるでその日が存在しないかのように申請が届く。経理の仕事をしていると、こうした場面に何度も出くわします。

締め日を過ぎて申請が届くたびに、頭を抱えたくなる気持ちは、経理の仕事をしていれば誰でも共感できるのではないでしょうか。経費精算の締め日を決めていても、なかなか守ってもらえない。そんな悩みを抱えている経理担当者は多いと思います。私自身、経理担当者として実務をこなす中で、この締め日を守ってもらえない問題に何度も向き合ってきました。何度ルールを説明しても伝わらず、もどかしさを感じた経験は一度や二度ではありません。

ルールを決めた直後は特にうまくいかず、何度も同じことで悩まされました。締め日を守ってもらえないと、経理側の作業が連鎖的に遅れてしまうため、精神的にも負担の大きい問題です。この記事では、私が実際に運用している締め日ルールと、それが社内に定着するまでの試行錯誤についてお伝えします。

目次

締め日ルールは「決めるだけ」では守られない

締め日を決めて社内に伝えれば、それだけでルールが定着すると思いがちです。ただ、実際にはそう簡単にはいきません。ルールを決めた直後は、忘れてしまう人、そもそも知らない人が一定数出てくるものです。

大切なのは、ルールを「決めること」と「守ってもらうこと」は別の問題だと理解しておくことです。決めた後にどう周知し、どう定着させるかまで考えておかないと、せっかくのルールが形骸化してしまいます。

私自身、ルールさえ決めてしまえば、あとは自然と守られていくものだと思っていた時期がありました。ですが実際には、決めた瞬間がゴールではなく、そこからが本当のスタートだったと痛感しています。

私の場合の締め日ルール

私の場合、締め日は「毎月1日の午後3時まで」と設定しています。これを過ぎた申請は、原則として当月の精算対象外とする運用です。

このルールは、完全に自分ひとりで決めたものではありません。慣習的に運用されていた面もありましたが、最終的には上司と相談のうえで正式に決定しました。自分の判断だけでルールを厳格に運用すると、後々「誰が決めたのか」でトラブルになりかねないため、上司を巻き込んでおいたことは、今振り返っても正解だったと感じています。

「当月の精算対象外」という運用は、担当者にとっては厳しく感じられる面もあると思います。だからこそ、経理担当者個人の裁量ではなく、会社としての正式なルールという形にしておくことが重要でした。何かあったときに「経理が勝手に決めたルールだ」と受け取られてしまうと、協力を得にくくなってしまうからです。

経費精算の締め日ルールを社内に周知する経理担当者を表すイメージ図
経費精算の締め日ルールを周知するイメージ

最初の対応と、その限界

ルールを決めた当初、締め日を守らない担当者に対しては、「これ以上は自分では対応できない」と伝え、対応を上司に引き継ぐ形にしていました。経理担当者という立場では強く言いにくい相手にも、上司からであれば伝わりやすいという判断です。

ただ、この対応だけでは根本的な解決にはなりませんでした。締め日を守らない人が一定数残り、現金が締まらないために次の作業(精算処理など)に着手できず、業務全体が遅延するという状態が続いていたのです。上司に対応を委ねること自体は自分の業務負荷を守るうえで有効でしたが、それだけでは「守ってもらえる仕組み」にはならなかったということです。

上司に引き継いだからといって、その場で問題が解決するわけでもありません。上司から本人へ注意が行くまでにはタイムラグがありますし、注意されたところで、次の月にはまた同じことが繰り返される、ということも珍しくありませんでした。「対応を引き継ぐ」というやり方は、自分の心理的な負担を減らすことはできても、締め日そのものを守ってもらう解決策にはならなかったのです。

本当に効いたのは「事前アナウンスの継続」だった

そこで改善策として取り入れたのが、締め日の2〜3日前から、朝礼などで事前アナウンスを徹底することでした。「締め日は◯日です」と、締め切りぎりぎりになる前に繰り返し伝えるようにしたのです。

正直に言うと、導入直後は効果が出ませんでした。アナウンスを始めてすぐに遅延が減るということはなく、しばらくは今まで通り締め日を過ぎて提出されることが続きました。ここで「効果がないからやめよう」と諦めていたら、状況は変わらなかったと思います。「言ってもどうせ変わらない」と感じる時期は、正直つらいものでした。

変化が出てきたのは、数ヶ月継続してアナウンスを続けてからでした。担当者の間で徐々に「締め日が近い」という認識が浸透していき、締め日を守る人が少しずつ増えていきました。ルールの定着には、即効性のある一手ではなく、根気強い反復が必要だったのです。

振り返ってみると、アナウンスの内容自体は最初から変えていません。変わったのは、それを聞く側の意識のほうでした。同じ情報でも、繰り返し耳にすることで「そういえば締め日が近い」と自然に思い出してもらえるようになっていったのだと思います。一度伝えて終わりにせず、当たり前のこととして繰り返し発信し続ける姿勢が、結果的に一番の近道でした。

ルール定着までの流れ

ここまでの経緯を、時系列で整理します。同じように締め日ルールを浸透させたい人は、参考にしてください。

時期 状態 対応
ルール導入直後 守らない人が一定数いる 守らない相手への対応を上司に引き継ぐ
事前アナウンス開始直後 遅延はすぐには減らない 締め日の2〜3日前に朝礼などで繰り返し告知する
数ヶ月継続後 徐々に認識が浸透し始める アナウンスを止めずに継続する
定着後 締め日を守る人が増える アナウンスを習慣として継続する

この表からも分かる通り、締め日ルールの定着は一直線には進みません。「守らない人への線引き」と「事前アナウンスの継続」、この2つを組み合わせて、時間をかけて浸透させていく必要があります。途中で結果が出ない期間があっても、それは失敗ではなく、定着までの過程の一部だと捉えておくと、途中で投げ出さずに済みます。

効果はすぐに出なくても、続ける価値がある

事前アナウンスを始めてすぐに結果が出なかったとき、「本当にこのやり方で合っているのだろうか」と不安になったのも事実です。すぐに結果が出ないと、つい別のやり方を試したくなってしまいますが、ここで方法をころころ変えてしまうと、かえって定着が遠のいてしまいます。ですが、数ヶ月単位で根気強く周知を続ける姿勢こそが、社内ルールの定着には欠かせないと実感しています。

ルールを守らない相手に対して強気な線引きをすることも、自分の業務負荷を守るうえで有効な手段の一つです。ただ、それだけに頼るのではなく、守ってもらいやすい環境を地道に作っていくことも、あわせて大切にしたいポイントです。線引きは自分を守るための手段、アナウンスは相手に守ってもらうための手段。この2つは役割が違うのだと理解してから、無理に一つの方法だけで解決しようとしなくなりました。

まとめ

経費精算の締め日ルールは、決めただけでは守られません。私の場合、締め日を「毎月1日の午後3時まで」と設定し、上司とも相談したうえで正式に運用しています。守らない相手への対応を上司に引き継ぐと同時に、締め日の2〜3日前からの事前アナウンスを数ヶ月継続することで、少しずつ社内に定着していきました。ルールを整えることと、それを周知し続けることは、どちらも欠かせない両輪だと感じています。

効果がすぐに出なくても焦らず、周知を続けること。それが、締め日ルールを社内に根づかせる一番の近道だと感じています。今まさに締め日を守ってもらえず悩んでいる人にも、この積み重ねがいずれ効いてくることを知っておいてもらえたらと思います。

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この記事を書いた人

中小企業の経理20年目。日商簿記2級。教科書に載っていない実務のつまずきどころを書いています。

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