「この仕事、ずっと同じことの繰り返しだな」
経理をしていると、そう感じる瞬間があると思います。実際、「経理はつまらない」という声は少なくありません。
この記事では、経理を20年やっている私が、後輩から「つまらないです」と言われたときに実際に伝えていることを書きます。精神論ではなく、明日から手を動かせることだけを挙げました。すべて私の場合の話として読んでください。

「経理はつまらない」と言われる理由は、だいたい3つ
調べてみると、経理がつまらないと言われる理由は、おおむね次の3つに集約されるようです。
- ルーティンの繰り返しである
- 成果が目に見えない
- 評価されにくい
営業のように売上が立つわけではなく、ミスをしなければ当たり前という扱いになりがちだ、という指摘です。
このうち、ルーティンの繰り返しであることは否定しません。毎月同じ時期に同じ作業があり、同じ手順で処理していく。実際そのとおりです。ここを「本当は毎日刺激的です」と言い張っても、やっている人には伝わりません。
ただ、繰り返しだから何も残らないかというと、そこは変えられると思っています。
つまらないのは、作業を「終わらせるだけ」になっているから
同じ作業でも、終わらせて次へ行くだけなら、たしかに何も積み上がりません。翌月も同じところで同じように手が止まります。
後輩から「つまらないです」と言われたとき、私が伝えているのは、作業のあとに少しだけ手間を足すことです。特別なスキルは要りませんし、時間も大してかかりません。
順番に3つ書いていきます。
①まずは復習する。とくに月次決算
最初にすすめているのは、自分がやった処理をもう一度見ることです。とくに月次決算をおすすめしています。
ただし、全部を見返す必要はありません。見るのは、手が止まったところと、時間がかかったところだけです。
なぜそこかというと、今後、同じことや似たことがあったときに、時間がかからなくなるからです。手が止まったということは、そこに自分の分かっていない部分があるということです。処理が終わった直後なら、何に引っかかったのかをまだ覚えています。時間が経つと、引っかかったことすら忘れます。
次に同じ場面が来るのが翌月とは限りません。数か月先かもしれませんし、来年かもしれない。それでも、一度きちんと見ておけば、そのときに必ず効いてきます。地味ですが、ここが意外と重要だと思っています。
②次に、分析をしてみる
復習が習慣になってきたら、次は分析です。分析といっても、難しいことをする必要はありません。
まずは前月と今月を比べるところから始めてください。金額が大きく動いている科目があれば、なぜ動いたのかを考えてみる。それだけで十分です。
余裕が出てきたら、比べる相手を増やしていきます。前年の同じ月と比べると、季節による動きが見えてきます。予算と実績を比べると、会社が想定していたこととのズレが見えてきます。
いきなり全部やろうとすると続きません。前月と今月、この1つだけでいいと思います。
③現金の締めしかしていないなら、その取引の中身を見る
まだ現金の締めしか任されていない、という方もいると思います。私も新人の頃はそうでした。
その場合は、視点を変えて取引の中身を見てみてください。これが、やってみると意外とおもしろいのです。
見るポイントはいくつかあります。
- 誰が、何に使ったのか
- なぜその勘定科目になっているのか
科目については、自分が処理したものを後から振り返るだけでも勉強になります。なぜこれは消耗品費で、これは雑費なのか。当時は言われたとおりに処理していても、後から見ると理由が見えてくることがあります。
それから、これは余談のようですが、自分が行ったこともない店の価格帯を知ることができます。領収書を見ていると、世の中にはこういう店があって、こういう金額なのかと分かってくる。経理をしていなければ知らないままだった世界です。
同じ現金の締めでも、金額を合わせるだけの作業として見るのか、会社の中でお金がどう動いているかを見るのかで、まったく別のものになります。
やっているのは、自分で「気づき」を育てること
3つ挙げましたが、根っこは同じです。
作業を終わらせるだけで通り過ぎず、そこから何かに気づく。それだけです。
気づきは、誰かが与えてくれるものではありません。上司が教えてくれるのは手順であって、気づきそのものは自分で拾うしかない。だからこそ、同じ作業をしていても、拾っている人とそうでない人では、時間が経つほど差がついていきます。
そして、これは経理の仕事だけの話ではないと思っています。気づきを育てる習慣そのものが、この先の人生でも役に立ちます。経理はたまたま、その練習をしやすい仕事だっただけです。
評価は、時間内に終わっているかどうか
最後に、3つ目の「評価されにくい」について書きます。
正直に言うと、経理の初心者に対する評価というものは、ほとんどないと思います。目立つ成果を出して褒められる、という場面はまず来ません。
ただ、評価がまったくないわけではありません。時間内に終わっていれば、それが評価です。
経理の仕事は、締め日までにできて当たり前だと思われています。できたからといって褒められることはありませんが、逆に言えば、期日に間に合わせ続けている限り、その人はきちんと評価されているということです。
だからこそ、時間内に終わらせることが重要になります。派手な成果を出そうとするより、まず決められた期日を守る。それが経理という仕事での評価のされ方だと思っています。
そして、これは上に書いた3つとつながっています。復習をして、次に同じ場面が来たときに手が止まらなくなれば、そのぶん早く終わります。気づきを拾うことが、結果として時間内に終わらせることにつながっていきます。
ちなみに私の場合、新人の頃に上司の仕事を隣で見ていました。その上司は淡々としていて、派手に褒められる場面も特にありませんでした。それを毎日見ていたので、この仕事はそういうものなのだと、考えるまでもなく受け取っていたのだと思います。
まとめ
経理がつまらないと言われる理由のうち、ルーティンの繰り返しであることは、そのとおりです。否定しません。
変えられるのは、その作業をどう扱うかです。私が後輩に伝えているのは、次の3つです。
- 復習する。とくに月次決算。手が止まったところ、時間がかかったところだけでいい
- 分析する。まずは前月と今月を比べるところから
- 取引の中身を見る。誰が何に使ったのか、なぜその科目なのか
どれも、作業のあとに少し手間を足すだけです。やっていることは、自分で「気づき」を育てることにほかなりません。
そして評価については、時間内に終わっていれば、それが評価です。締め日までにできて当たり前だと思われている仕事なので、褒められることはありません。それでも、期日を守り続けていること自体が評価されているということです。
気づきを拾えば、次から手が止まらなくなり、そのぶん早く終わります。結局のところ、この2つはつながっています。
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