「自分が休んだら、仕事が止まってしまう」
経理をしていると、そう感じることがあると思います。実際、月次決算や決算の期間は休めません。これは経理の宿命のようなものだと思っています。
ただ、まったく休めないかというと、そんなことはありません。私は経理を20年やっていますが、里帰りで1週間休んだこともありますし、体調を崩して2週間休んだこともあります。この記事では、そのときに実際に何をしたかを書きます。すべて私の場合の話として読んでください。

「属人化を解消しましょう」は、担当者には実行できない
経理が休めない理由を調べると、たいてい「業務が属人化しているからだ」と書かれています。そして解決策として、業務の可視化、分散、標準化、マニュアル化といったことが挙げられています。
言っていることは正しいと思います。ただ、これは会社が決めることであって、担当者が自分で実行できる話ではありません。
「標準化しましょう」と担当者が言って、すぐに人が増えたり、体制が変わったりすることはまずありません。仕組みが変わるのを待っている間にも、休みたい日は来ます。
ですから、ここでは仕組みの話はしません。仕組みが変わらないなかで、自分はどう休むのかという話を書きます。
基本は、その時期を避ける
まず前提として、月次決算と決算の期間は休めません。ここは動かせないと思っています。
なので私の場合、休みを取るときはその時期を避けるのが基本です。あらかじめ経理の年間の流れが分かっていれば、どこが動かせない期間なのかも見えてきます。そこを外して予定を入れる。
これがいちばん確実で、揉めることもありません。
問題は、避けられないときです。
それでも休むときにやったこと
実際に休んだときのことを、3つ書きます。私の場合、共通してやっていたのは周知徹底でした。これが最重要です。
①新人の頃、里帰りで1週間休んだ
まだ新人だった頃、里帰りのために1週間休んだことがあります。年に2回ありました。
当時、私が担当していたのは現金業務でした。私が休めば、現金精算ができなくなります。
そこで、あらかじめ全員に伝えておきました。
「私が出社したら処理しますので、申し訳ないですが1週間、現金精算はできません」
これだけです。止めない工夫をしたのではなく、止まることを先に伝えただけです。
そして実際に、その1週間は止まりました。それでも問題にはなりませんでした。事前に分かっていれば、みんなそれに合わせて動いてくれます。
②体調を崩して、2週間休むことになった
責任者になってからは、体調を崩して2週間ほど休まなければならなくなったことがあります。しかも、月次決算と決算の期間にかぶっていました。
このときは、2週間続けて休むのではなく、1週間の休みを2回に分けて調整しました。病院の先生と相談し、本社とも相談したうえで決めています。
この分割は、私のほうから提案しました。本社に事情を説明したうえで、「最悪、電話対応はできます」と伝えて許可をもらっています。完全に連絡がつかなくなるわけではない、という一点があるだけで、話が通りやすくなりました。
周知は、口頭で全社員に伝えました。新人の頃と同じやり方です。責任者になったからといって、特別なことをしたわけではありません。
そして、これがいちばん言いたいことですが——体調を崩しているのに、無理してまでやる必要はありません。体が資本です。無理に出ていって倒れれば、休む期間はもっと長くなります。
自分で全部背負って出ようとするより、相談できる相手に事情を話して、日程のほうを動かす。そのほうが結果的にうまくいきました。
③身内に不幸があったとき
身内の不幸で休んだこともあります。これは予定を立てられません。
このときも、本社に相談して了承を得ました。避けようのないことなので、こちらから状況を伝えて判断してもらう形になります。
仕事は止まります。止めていいと思っています
3つとも、正直に書くと仕事は止まりました。
属人化の解説記事には「担当者が休んでも止まらない体制を作りましょう」と書かれています。理想としてはそのとおりです。でも実際には、止まります。
そのときに私が思っていたのは、いないものはしょうがないということでした。
いない人間に処理はできません。無理に出ていって中途半端な仕事をするより、止まる期間をはっきり伝えて、戻ってから処理するほうが、まわりも段取りを組めます。
だからこそ、周知徹底が最重要になります。止めないための努力ではなく、止まることを事前に共有するための努力です。
これは、責任者でなくてもできます。私が新人だった頃にやったのも、まさにそれでした。初心者でもやることは同じです。
20年たっても、休みやすさは変わりません
正直なところ、20年やっても休みの取りやすさは変わっていません。月次決算と決算の期間が動かせないことも、そのままです。
ただ、変わったことがひとつあります。力を抜けるところが分かるようになりました。
月次決算や決算といっても、毎回まったく新しい事例が入ってくるわけではありません。過去にやってきた経験があるので、全体の流れが分かります。すると、ここは急がなくても間に合う、この確認は毎回やらなくていい、という判断ができるようになります。
休みやすくなったのではなく、同じ忙しさの中に余白を見つけられるようになったという感覚です。
そして、これは初心者にも起きます。最初の1回目は苦労するかもしれません。でも2回目以降は、なんとなくついていけるようになります。もちろん、本人の頑張りも必要ですが、1回目より2回目のほうが楽になるのは確かです。
まとめ
経理は休めないと言われますが、そんなことはありません。私の場合はこうしてきました。
- 基本は、月次決算と決算の時期を避ける。ここは動かせないので、予定のほうを外す
- 避けられないときは、周知徹底する。「この期間は処理できません」と先に伝えておく
- 相談できる相手がいるなら、日程を調整してもらう(一人経理なら、上司や、場合によっては社長に直接)。2週間を1週間×2回にした年もありました
やっているのは、止めないための工夫ではありません。止まることを先に伝えることです。いないものはしょうがないので、そこは割り切っています。
そして、これは責任者でなくてもできます。新人の頃の私がやっていたことでもあります。
20年たっても休みやすさは変わりませんが、力を抜けるところは分かるようになりました。1回目より2回目のほうが楽になります。いま休みづらいと感じている方も、そこは変わっていくと思います。
そして、実際に休んでみて思うのは、結局、なんとかなるものだということです。止まった期間はありましたが、それで会社が回らなくなったことはありません。休む前に想像しているほど、大ごとにはならないものです。
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