初めて経理を任された人が最初の1ヶ月にすべきこと

keiri-tobira

「来月から経理をお願い」と言われて、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。

私の場合は、転職して入社した会社で経理を任されました。前職とはまったく違う業務からのスタートで、しかも前任者が転勤することになっていたため、引き継ぎに使えた期間は3日間でした。

正直に言うと、その3日で理解できたことは、ほとんどありません。

この記事では、最初の1ヶ月で私が実際に何をやったかを順番に書いていきます。うまくいった話ばかりではありません。むしろ「1ヶ月では無理だった」という話のほうが多くなります。すべて私の場合の話で、会社によって事情は違うという前提で読んでください。

目次

最初の1週間でやったこと

細かい作業より先に、まず「何があるか」を知ることを優先しました。

①引き継ぎは3日しかなかった

前任者の転勤が決まっていたため、引き継ぎに使えたのは3日間でした。

前職とはまったく違う業務からのスタートだったこともあり、説明されている内容の大半が理解できませんでした。メモは取りましたが、「何が分からないのかが分からない」という状態です。用語の意味も、なぜその作業が必要なのかも、頭に入ってきません。

ただ、ひとつだけ後から効いたことがあります。前任者に電話で聞ける状態が残っていたことです。

転勤先が分かっていたので、どうしても行き詰まったときは連絡できました。とはいえ頻繁にかけたわけではありません。何度もかけられる相手ではないので、「これは自分では絶対に分からない」というものだけに絞りました。

引き継ぎの中身そのものより、引き継ぎが終わったあとに聞ける相手が残っているかどうかのほうが、私の場合は大きかったです。3日という期間はどうにもなりませんでしたが、電話が1本かけられるという事実には、何度も助けられました。

②いちばん優先したのは銀行だった

3日しかない中で、私が最優先で教わったのは銀行のことでした。

  • 銀行口座
  • ネットバンキング
  • 銀行の場所

会社で使っていたのは2行で、口座はそれぞれ1つずつ。数としては決して多くありません。それでもここを真っ先に押さえたのは、入出金の確認が止まると、ほかのすべての作業が進まなくなるからです。

意外に思われるかもしれませんが、「銀行の場所」も教わりました。転職を伴う入社で土地勘がなかったため、使う銀行がどこにあるのかを覚えること自体が、最初の負担だったのです。

業務知識のほうにばかり目が行きがちですが、不慣れな土地での入社であれば、この「土地勘のなさ」も最初の1週間の課題になります。私の場合は、ここを最初に潰しておいたのが正解でした。

③システムは、伝票を数枚打ってみるところから

会社で使っていたのは、市販の会計ソフトではなく、独自に開発されたシステムでした。

最初の1週間でやったのは、伝票処理を数枚やってみた程度です。

機能を一通り覚えようとはしませんでした。というより、覚えようがありませんでした。何のためにその画面があるのかが分からない状態で操作方法だけ覚えても、頭に残らないからです。

まず数枚打ってみて、「入力するとこうなる」という感触だけをつかむ。私の1週間目は、そこまでで終わりました。

2週間目〜1ヶ月でやったこと

④締め作業は「覚える」のではなく「上司が必要なものを揃える」

経理の仕事の中心は、月次の締め作業です。

正直に書きます。1ヶ月では覚えられませんでした。

上司や前任者に聞きながら進めましたが、それでも無理でした。手順を教わっても、なぜその順番なのかが分かっていないので、少しでも違うことが起きると手が止まってしまいます。

そこで、最初の1ヶ月に私が目標にしていたのは、締め作業を覚えることではありませんでした。

上司が必要とするであろうものを、滞りなく用意すること。これだけです。

そもそも何をすればいいのかが分かっていないので、自分で判断して進めることができません。それなら、上司が次に何を求めるかを予測して、それだけは遅らせない。できることがそこしかなかった、というのが実際のところです。

もうひとつ、この時期に分かったことがあります。

新人の頃にまず任されたのは現金の締め作業でした。やり方そのものは上司や先輩から直接教えてもらえましたが、金庫のダイヤル操作だけは、誰かに都度教わるものではありませんでした。ダイヤル表を持ち歩くわけにもいかないので、自分でひたすら反復して体に覚え込ませるしかなかったのです。

「教えてもらえる業務」と「自分で体に叩き込むしかない業務」が混在している。これが、最初の1ヶ月でいちばん強く感じたことでした。

⑤保管ルールは、前任者のやり方をそのまま真似た

領収書や請求書の保管ルールについては、特に困ったことがありません。

理由は単純で、前任者がやっていたとおりに真似たからです。

なぜこの分け方なのか、なぜこの順番なのかは分かりませんでした。それでも、まず同じようにやりました。自分なりに整理し直してしまうと前の年との比較ができなくなりますし、そもそも「整理し直したほうがいい」と判断できるだけの材料を、当時の私は持っていませんでした。

分からないうちは変えない。私の場合は、それで問題は起きませんでした。

⑥聞く順番を決めておく

分からないことが出たとき、私は聞く順番を決めていました。

最初は上司。次に前任者。最後が本社。

この順序は必ず守るようにしていました。いきなり本社に聞くことはしません。上司が知っていることを本社に持っていくのは筋が違いますし、実際、社内で解決できることのほうが多かったからです。

なお、私の場合、税理士に聞いたことはありません。上司・前任者・本社の3つで足りていました。

顧問税理士に相談できる環境であれば話は変わると思いますが、少なくとも私の場合、聞く相手は全部社内にいました。「専門家に聞かないと解決しない」と身構える必要は、思っていたほどありませんでした。

正直に言うと、1ヶ月ではできるようになりません

ここまで「最初の1ヶ月にやったこと」を書いてきましたが、大事なことをひとつ付け加えます。

1ヶ月で経理ができるようにはなりません。

私の場合、月次決算の処理がスムーズになったのは、半年ほど経ってからでした。上司からの指摘が目に見えて減ったのが1年目。仕訳をした結果、数字にどんな影響が出るのかまで分かるようになったのは、2年目に入る頃です。

「最初の1ヶ月でやること」と「最初の1ヶ月でできるようになること」は、別物です。

1ヶ月でできるのは、全体像に触れることと、目の前のものを遅らせずに出すことまで。それ以上を自分に求めると、たいてい先に心のほうが潰れます。

指摘されたことは、その場でエクセルに書いた

やっていて分かったのは、完璧にやれることなど何ひとつないということです。

覚えたと思っても、翌月には違うことが出てきます。取引先が変わる、金額が変わる、前の月にはなかった処理が出てくる。そのたびに指摘を受けました。

そこで私がやっていたのは、指摘されたことをエクセルにどんどん書き足していくことです。「翌月は要注意」と添えておく。それだけです。

正直なところ、あのファイルをいま見返すことはありません。書くという行為そのもので覚えていたのだと思います。それでも十分でした。

私の場合、どれくらいで何ができるようになったか

参考までに、実際にかかった時間を残しておきます。あくまで私の場合ですが、「1ヶ月でできるようにならないのは自分だけではないか」と不安になっている方の目安になれば幸いです。

時期 できるようになったこと
最初の3日 引き継ぎ。ほとんど理解できなかった
1週間 銀行と口座を把握。伝票を数枚打ってみた
1ヶ月 できるようにはならない。上司に必要なものを遅れずに揃えるだけ
半年 月次決算の処理がスムーズになった
1年 上司からの指摘が減った
2年 仕訳が数字にどう影響するかまで分かるようになった

処理ができるようになるまでで1年、意味まで把握できるようになるまでで2年。これが私の実際のペースでした。

まとめ:完璧じゃなくていい

経理を初めて任された方に伝えたいのは、「最初から完璧にやろうとしなくていい」ということです。

私の場合、引き継ぎは3日で、内容はほとんど理解できませんでした。それでも、銀行だけは先に押さえ、聞く順番を決め、指摘されたことを書き留める。やっていたのはその程度です。

1ヶ月で経理ができるようにはなりません。半年、1年、2年とかかります。それは能力の問題ではなく、単にそういう仕事だからです。

完璧にやれることなど何ひとつありません。翌月にはまた違うことが出てきます。それでも続けていれば、指摘は少しずつ減っていきます。

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この記事を書いた人

中小企業の経理20年目。日商簿記2級。教科書に載っていない実務のつまずきどころを書いています。

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