「もし大きなミスをしたら、どうなるんだろう」
経理をしていると、この不安が消えないと思います。数字を扱う仕事なので、間違いがそのまま金額に出ます。小さいミスなら直せばいいと分かっていても、「取り返しのつかないことをしたらどうしよう」という気持ちは別のところにあります。
私は中小企業で経理を20年やっています。この記事では、20年で一番大きなミスをしたときに、実際どうなったかを書きます。すべて私の場合の話として読んでください。

調べても、知りたいことが出てこない
「経理 ミス 責任」で調べると、出てくるのは大きく2種類でした。
ひとつは法律事務所の記事で、損害賠償が認められるかどうかという話が書かれています。もうひとつは経理代行の会社で、外注すればミスと責任から解放されます、という案内です。
どちらも間違ってはいないのだと思います。ただ、いま不安になっている人が知りたいのは、そこではないはずです。
知りたいのは、実際にやってしまったら何が起きるのか。ほとんどそれだけだと思います。
20年で一番大きなミス
私の場合を書きます。
一番大きかったのは、支払いに関わるミスでした。
内容そのものは伏せますが、気づくのが遅れていたら、会社の信用に関わる種類のものです。正直に言って、シャレになりませんでした。
期日の2〜3日前に気づきました
気づいたのは、期日の2〜3日前です。
慌てて上司と本社に相談しました。
そして、なんとかなりました。
書いてしまえば3行で終わります。

収まった理由は、2つしかありません
あとから考えると、収まった理由ははっきりしています。
期日の前に気づいたこと。
自分ひとりで何とかしようとせず、上司と本社に相談したこと。
この2つです。
とくに2つ目のほうが大きかったと思っています。あの場面で「自分で何とかしよう」と抱え込んでいたら、2〜3日はあっという間に過ぎていました。
始末書を書きました
そのあと、始末書を書きました。人生で初めてです。
無傷では済まなかった、ということです。ミスをしても何も起きません、という話ではありません。
書式は、用意されませんでした
意外だったのは、会社から書式が出てこなかったことです。「これに書きなさい」という用紙があるものだと思っていましたが、そんなものはありませんでした。
自分で用意しました。分量はA4で1枚です。提出先は本社の部長でした。
淡々と書きました
書いているとき何を思っていたかというと、正直、あまり何も思っていませんでした。淡々と書きました。
強い気持ちがあったわけではありません。何を考えても仕方がないと思っていたからです。もう起きてしまったことで、書かないという選択肢もない。だったら書くしかない、という状態でした。
そのあと、何かあったかというと
いま不安になっている人が、一番知りたいのはここだと思います。
始末書から先には、何も続きませんでした。
減給もありません。処分もありません。人事評価にも響いていません。
そして、この話は本社の経理部の中で終わりました。社内に広まることもありませんでした。
始末書が軽いものだった、という意味ではありません。書かされたのは事実で、それ自体が結果です。ただ、そこから先に何かが積み上がっていくことはなかった、ということです。
私が書かされたのは、始末書でした。そして、いまも同じ会社で経理を続けています。20年です。
自腹で埋めたこともあります
正直に、もうひとつ書いておきます。
金額の小さいものを、自分で埋めたことはあります。
経費精算の、前期分でした
場面は経費精算です。金額は数千円でした。
理由ははっきりしていて、前期分だったからです。
決算が終わったあとに出てきた前期の経費は、もう動かせません。かといって今期の費用にするわけにもいかない。どう処理しても、きれいな形にならないという状態でした。
金額が数千円だったこともあって、自分で埋めました。会社から言われたわけではありません。誰かに指示されたのでもなく、自分で決めたことです。
帳簿のズレを埋めた、という話ではありません
誤解のないように書いておきます。帳簿の1円が合わないときに、その差額を自分のお金で埋めた、という話ではありません。
帳簿の中のズレは、自分がお金を出しても合いません。数字が合わないという問題は、お金では解決しないからです。
ここで書いているのは、実際に支払いが発生してしまったものの話です。
いまは、そうならないようにしています
考えが変わったわけではありません。同じ場面になれば、たぶん同じことをすると思います。
ただ、そもそもそういうことが起きないように、いまは周知を徹底しています。
経費精算を期限までに出してもらうために実際にやったことは、経費精算の締め日ルールのほうに書いています。
一般には、自腹で処理するのはよくないとされています。調べればそう書かれています。それでも、そうしたことはありました。
推奨する話ではありません。ただ、そういうことをした経理担当者が、20年続けている、というだけの話です。
いま後輩がミスをすると、私は深刻そうに話します
立場が変わってから気づいたことがあります。
いま、後輩がミスをすると、私は深刻そうに話します。
ただ、裏ではあっけらかんとしています。
理由は単純で、対処法を知っているからです。どう動けば収まるかが分かっているので、内心では「これは収まる」と思っている。それでも、その場では深刻に見せます。
これは、いま指摘されている側からは見えません。
目の前の先輩が深刻な顔をしていれば、取り返しのつかないことをしたと思うはずです。ただ、その先輩は、裏では収まる見込みを持っているかもしれません。
まとめ
「経理で大きなミスをしたらどうなるか」について、私の場合を書いてきました。
- 20年で一番大きなミスは、支払いに関わるものだった
- 期日の2〜3日前に気づいて、上司と本社に相談して、なんとかなった
- 収まった理由は「期日の前に気づいたこと」と「ひとりで抱え込まなかったこと」
- 始末書を書いた。人生で初めてだった(書式は自分で用意。A4で1枚。提出先は本社の部長)
- 始末書から先には、何も続かなかった。減給も処分もなく、本社の経理部の中で終わった
- そして、いまも同じ会社で経理を続けている
ミスは起きます。20年やっていて、シャレにならない種類のものが一度ありました。
ただ、そのときに実際に起きたのは、慌てて相談したことと、始末書を書いたことでした。
いま不安になっている人がいたら、先輩の深刻な顔を、そのまま受け取らなくていいと思います。その人は、裏ではあっけらかんとしているかもしれません。私がそうです。
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