「経理を独学で勉強したいけど、何から始めればいいのか分からない」
簿記の資格教材はたくさんありますが、実務にそのまま活きるかというと、必ずしもそうとは言い切れません。私自身、経理の実務担当者として、教材で学ぶというよりは、自社の資料を使いながら実地で身につけてきた実感があります。この記事では、私が実際にどのように勘定科目の意味を身につけてきたのかをお伝えします。
経理の独学は「教材で学ぶ」より「自社のBS・PLで覚える」が現実的
経理の独学というと、市販のテキストや資格講座で体系的に学ぶイメージを持つ方が多いと思います。もちろんそれも有効な方法ですが、実務で本当に戦力になるためには、もう一段階必要なステップがあります。それが、自社で実際に使っている勘定科目の意味を、自分の会社の資料を通して理解することです。
教科書に載っている勘定科目の一覧は、あくまで一般的な例にすぎません。実際に自分が働く会社で、どの科目がどういう意味で使われているのかは、自社のBS(貸借対照表)・PL(損益計算書)を見ないと分かりません。この「自社基準での理解」を飛ばしたまま教材だけで勉強を進めても、実務との間にギャップが残ってしまいます。
仕訳が分かるには、自社の勘定科目の意味を知ることが前提
経理として戦力になるには、「仕訳が分かる」ことが大前提になります。そして、仕訳を本当の意味で理解するには、自社で使用している勘定科目の意味を把握しておく必要があります。借方・貸方のルールを覚えるだけでは不十分で、「この科目は何を表しているのか」が分かって初めて、仕訳の意味が腑に落ちてきます。
ここでつまずくと、仕訳の作業自体はできても、何のためにその処理をしているのか分からないまま進めることになり、イレギュラーな取引に出会うたびに手が止まってしまいます。

私の場合は「自社のT字勘定」を自作して整理した
私の場合、勘定科目の意味は、自社のBS・PLを基に、T字勘定を自分で作成して整理してきました。教科書のような一般的な勘定科目一覧をそのまま覚えるのではなく、自社で実際に使っている科目を、資産・負債・純資産、収益・費用というグループに分けて、T字の形に書き出していく作業です。
この作業をしておくと、単なる暗記ではなく「自社の勘定科目がどういう位置づけにあるのか」を体系的に理解できるようになります。一度作ってしまえば、あとから見返せる自分専用の資料にもなるので、独学の教材を何冊も揃えるよりも、実務に直結した力がつくと感じています。
知らない勘定科目に出会ったら「グループ分け」で考える
実務をしていると、これまで見たことのない勘定科目に出会うことがあります。そんなとき、私は自作のT字勘定の上で、その科目が資産・負債・純資産・収益・費用のどのグループに属するかを確認するようにしています。
グループさえ分かれば、増えたときにどちら側に書くか、どういう性質の科目なのか、大まかな意味が見えてきます。知らない科目に出会うたびに一から調べるのではなく、「どのグループに属するか」という視点で考える癖をつけておくと、初めて見る科目にも落ち着いて対応できるようになります。
聞ける相手がいない場合の代替手段
とはいえ、社内にすぐ聞ける相手がいない場合もあると思います。そうしたときは、過去の伝票と総勘定元帳のデータを見て、その科目がどのように使われているかから意味を読み取るようにしています。実際の使用例を見ることで、教科書の説明よりも具体的にイメージがつかめることが多いです。
顧問税理士と契約している場合は、税理士に聞くのが最も確実な方法です。過去の伝票を見ても判断がつかない場合や、税務上の取り扱いに関わる内容であれば、遠慮せずに専門家を頼ることをおすすめします。
「独学した記憶がない」という感覚
正直なところ、私自身は「これが独学の勉強法です」と胸を張れるような、特別な学習時間を取った記憶があまりありません。自社のBS・PLを見ながらT字勘定を作り、分からない科目に出会うたびにグループ分けで考え、過去の伝票を確認する。この作業を実務の中で繰り返しているうちに、自然と身についていったというのが正直な実感です。
裏を返せば、「机に向かって何時間も勉強しなければならない」と気負う必要はないということでもあります。日々の業務の中で、自社の資料を使って一つずつ理解を積み重ねていく方法でも、十分に実務の力は身についていきます。
自社のBS・PLを使った独学の進め方
市販のテキストではなく、自社の決算書を教材にする方法です。実務に直結するうえ、費用もかかりません。手順は次のとおりです。
- 直近期のBS・PLを手元に用意する:会計ソフトから出力するか、上司に閲覧の可否を確認します。社外秘の資料なので、持ち出しや共有には注意してください。
- 金額の大きい科目から10個選ぶ:すべてを理解しようとせず、上位10科目に絞ります。自社の事業を反映した重要な科目が自然に選ばれます。
- 各科目の中身を仕訳までたどる:総勘定元帳から、その科目にどんな取引が入っているかを確認します。「売掛金」が具体的にどの取引先の何の売上なのかまで見ます。
- 科目の定義を調べる:ここで初めてテキストやネットで一般的な定義を確認します。自社の使い方と一般論のズレが、そのまま自社ルールの理解になります。
- 疑問点をメモして先輩に聞く:調べても分からなかった部分だけを聞きます。自分で調べた形跡があるぶん、質問も具体的になります。
この方法が実務に効く理由
| テキスト中心の独学 | 自社BS・PLでの独学 | |
|---|---|---|
| 覚える範囲 | 試験範囲すべて | 自社で実際に使う科目のみ |
| 実務への直結度 | 一般論のため要翻訳 | そのまま業務に使える |
| 自社ルールの把握 | できない | 調べる過程で自然に身につく |
| 向いている場面 | 資格取得を目指すとき | 配属直後・転職直後 |
どちらか一方が正しいということではなく、目的が違います。資格を取るならテキストが必要ですし、目の前の業務を早く回せるようになりたいなら自社の資料が近道です。配属直後であれば、まずは後者から始めるほうが手応えを得やすいと思います。
まとめ
経理の独学は、市販の教材だけに頼るより、自社のBS・PLを使って実地で覚える方が現実的です。自社の勘定科目でT字勘定を自作し、知らない科目に出会ったらグループ分けで考え、聞ける相手がいなければ過去の伝票や総勘定元帳、あるいは顧問税理士を頼る(契約している場合)。この積み重ねが、机に向かう勉強時間以上に力になります。「独学した記憶がない」というくらい自然に身につくものだと思えば、独学へのハードルも少し下がるのではないでしょうか。
あくまでもご参考までに・・・。
独学の第一歩として、まず押さえておきたいこと
自社のBS・PLを使った独学を始める前に、まず借方・貸方の基本と、勘定科目の考え方を押さえておくと、T字勘定作りがスムーズになります。次の記事もあわせて参考にしてください。

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